地中海に浮かぶシチリア島に存在する、ヨーロッパ大陸最大の活火山エトナ山のブドウを使用した「カヴァネラ ロッソ ロヴォ・デッレ・コトゥルニーエ」。火山周辺の素晴らしいテロワールを十分に表したワインです。
「ROVO DELLE COTURNIE(ロヴォ・デッレ・コトゥルニーエ)」とは、”ヤマウズラのイバラ”を意味し、
昔このブドウ畑のある一帯を農家がそう呼んでいたことから名付けられました。フィッリアートが畑に選んだエトナ山の麓では、何世紀にもわたるブドウ栽培の伝統があります。現在でも標高400~1,100mの場所でブドウが栽培されており、1968年にはシチリア島で初めてDOCに認定されました。19世紀に世界中のブドウ樹を襲った害虫「フィロキセラ」の被害を受けていない樹齢120~150年の古木が今もなお現存している、特別な場所でもあります。
シチリアと言えば温暖な気候を想像しますが、エトナ山麓の冬は真っ白な濃霧に覆われ、地中海性気候の沿岸部とは大きく異なります。夏の日中は直射日光が当たる場所は気温が上がりますが、朝・晩は10度以上も気温が下がり冷え込みます。この寒暖差の激しさは、果実に含まれるポリフェノールや芳香を高めます。
現在も進化し続けている火山であるため、山の地形や方角によって、溶岩流や降り積もる火山性物質の年代や特質が様々に絡み合わさり、畑ごとに違う個性を持っています。それにより、味わいや香りに奥行きと複雑味がもたらされます。
主に砂質の火山性土壌は、非常に細かい粒子で構成され高い排水能力があることと、ブドウの糖度に影響を与えるリン、植物の耐寒性を高めるマンガンなどはじめ、鉄、シリカ、アルミニウム、マグネシウムなどのミネラル成分の含有量が非常に多いことも特徴です。
フィッリアートの所有するエトナ山のブドウ園は全部で12か所あり、標高550mから950mまで、さまざまな場所に散らばります。標高や方角によって全く異なる微気候と土質を備え、多様な樹齢のシチリア原産のブドウ品種(ネレッロ・マスカレーゼ、ネレッロ・カップッチョ、カリカンテ、カタラット)を育てています。
カヴァネラ ロッソ
ロヴォ・デッレ・コトゥルニーエは主に山の北東側の標高650~800mのZucconero(ズッコネロ)という単一畑で採れた、樹齢およそ70年にもなるネレッロ・マスカレーゼ90%、ネレッロ・カップチョ10%を使用しています。火山由来の黒い砂からなる畑の土壌はおよそ1万年前に作られたもので、シリカが豊富な砂と玄武岩質の岩でできており非常に痩せています。標高が高く痩せた土壌では凝縮されたブドウが育つため、複雑なワインを作るのに理想的です。
ブドウは手摘みで収穫され、24℃に温度管理をして18日間の発酵が行われたのち、マロラクティック発酵させます。スラヴォニア産のフユナラのカスクで9ヶ月熟成後、さらに20ヶ月の瓶内熟成期間を経てリリースされます。
2018年ヴィンテージでは、生育期に空気が乾燥していたため、シーズン中にウドンコ病やその他の病害にかかることはほぼなく、完璧なブドウが育ちました。夏場も適度な乾燥によりブドウは順調に成長し、完璧な凝縮感となりました。9月の適切な時期に雨が降り、ネレッロ・マスカレーゼは標高が一番高いブドウ畑でさえも完璧な成熟具合となりました。火山からの恵みを受け、ネレッロ・マスカレーゼならではのスパイシーな味わいやミネラルを感じるワインです。
シチリア島西部の街トラーパニに程近いパチェコに拠点を構える造り手フィッリアート。古代から様々な文化が行き交い、イタリアワインの歴史においても大きな役割を果たしてきた地から、再び世界に向けて故郷のシチリアワインの素晴らしさを発信しようと、現当主サルヴァトーレ・ディ・ガエターノ氏が1978年に立ち上げ、1985年からワイン造りをスタートしました。
現在ではパチェコの他、シチリア東部のエトナ山の麓に醸造所と畑を、そしてトラーパニから船で20分ほどにある小さなファヴィニャーナ島にも畑を有しています。丘陵、火山、海というそれぞれ地質も気候も異なる環境で、土地ごとに合ったブドウの持ち味を存分に生かし、それぞれのテロワールを大胆に表現したワイン造りを目指しています。カジュアルなワインから特別な日のための一本まで、常に安定した品質に対する評価は高く、イタリア国内はもとより世界各国で認められている生産者のひとりです。
近年では、ワイン造りと土の保護にも軸足を置き、生物多様性保護や環境保全に対する独自の研究にも精力的で、シチリアから持続可能なワイン造りを発信するパイオニアとしても注目を集めています。
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