薬物依存に立ち向かう若者たちの自立を目指し、紺碧のアドリア海を臨むエミリア・ロマーニャ州リミニの丘に設立された小さな施設サン・パトリニャーノで造られた「モンテピローロ」。ブドウが栽培されている丘の名前から名づけられました。
素晴らしい気候に恵まれ出来上がったモンテピローロ2019は、少量のみの生産です。春の涼しい気候によってフェノール類の成熟が始まる時期にブドウの成長が遅れましたが、夏の暑さによって大きく回復しました。モンテピローロ・クリュの畑をとりまく微気候、日較差と海からの好影響を受け、バランスのとれたブドウが収穫できました。
醸造家はあえてボルドーの有名な3つのブドウ品種(カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン)を使用し、この土地ならではのテロワールを表現したといいます。しっかりとしたストラクチャーと力強さがありながら、複雑かつエレガントなワインをこの地域でも造ることができるということを証明するため、限界に挑戦し続けています。
減農薬農法により栽培されたブドウは、全て手作業で選別、収穫します。
最初に収穫したメルローは、ステンレスタンクで果皮と一緒にマセレーションし醸造、続いてカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランは果皮が完熟するまで待ち、その一部は樽を使用して醸造しています。それぞれに醸造した3つの品種を組み合わせ、およそ80%はアリエ産オーク樽で12ヶ月間熟成、残りは2回目使用のオーク樽で熟成します。その後、12ヶ月の瓶内熟成を経てリリースされます。
ワイナリーの始まりは1978年、ヴィンチェンツォ・ムッチョーリ氏によって設立された小さな施設です。薬物の困難に立ち向かう若者たちの自立を目指す社会的な試みとして、リミニの狭小な土地ではじまったこのプロジェクトは、紆余曲折を経ながらも今日まで規模を広げていきました。今では多くの若者らが技術習得と社会復帰を目的として、家族の様に絆を深めながら、ブドウの栽培からワインの醸造、酪農から生ハムや乳製品の加工、テキスタイル、プロダクトデザインなど様々な事業に従事しています。
イタリア国内のみならず世界でも注目を集めているプロジェクトですが、各分野ともイタリアトップクラスの専門家が技術指導に携わることでも知られ、プロジェクトに賛同したイタリア屈指の専門家が若者たちの生産活動を支えています。
ワイン分野でも世界的にも有名なリカルド・コタレッラ氏をはじめとする専門家たちが、ブドウ栽培から醸造に至るあらゆる工程で直接指導を行い高品質なワイン造りをサポートしています。若者らが取り戻した「誇りの結晶」とも言えるワインは、著名なレストランやワインバーでもオンリストされるとともに、様々な栄誉ある評価を獲得しています。
ロゴに描かれたレバノン杉は、サン・パトリニャーノのシンボルの木です。創設者ヴィンチェンツォ・ムッチョーリが、その木の枝の荘厳さに、若者たちへの歓迎、愛、更生の願いを込めました。丘の上のレバノン杉はもう残っていませんが、プロジェクトの精神として今でも大切に受け継がれています。
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