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地中でワインを醸す壺、クヴェヴリ

地中でワインを醸す壺、クヴェヴリ


ワイン発祥の地とも言われるジョージア。およそ8000年前からワインが造られていたことを物語る痕跡が発掘されています。そしてジョージアのワインを語る上で欠かせないのが、窯で焼き上げられた素焼きの壺「クヴェヴリ」。


「埋められたもの」または「地面に深く掘られたもの」を意味する言葉kveuriに由来する名の通り、地中や床下に埋められた状態でワインの発酵、熟成、貯蔵に用います。ジョージアでは一般家庭でのワイン造りが禁止されておらず、日本における漬物のように日常生活の中でもワインは造られています。そのためクヴェヴリのサイズは20L~10,000Lと幅広く存在しています。

底の尖った卵のようなユニークな形をしていますが、この形状は果汁と共にチャチャと呼ばれる固形物(果肉、果皮、種、茎等)を一緒に漬け込むという独自の製法において大事な役割があります。丸みのあるボディは内部の循環を促し、尖った底には熟成後にチャチャが沈み込み、ワインとの自然な分離を起こします。底が平らでないため単体での自立ができず、埋められる前のクヴェヴリが屋外にゴロンと転がされている風景がしばしば見られるのですが、丸みのある形状や空を見上げるような姿が妙に可愛らしく、大小さまざま草むらに横たわる様子は生きものか何かのようです。

手作業によるクヴェヴリ制作は男性の仕事で、熟練の技術と経験が必要とされ、父から子へと時間と掛けて伝承されてきました。古くは各地域に造り手がいましたが、現在では職人の高齢化が進み、造り手が減少の危機に晒されています。寒い時期は粘土がひび割れて壊れてしまう危険があるため、主に暖かい季節に生産され、粘土の状態を考慮し温度と湿度を十分に保った工房で職人は汗だくになって作業をします。

作業工程は棒状の粘土を下から少しずつ積み上げていくことの繰り返しですが、粘土の重さによる崩壊を防ぐため一度に追加できる粘土は15~20cmほど。その都度丸1日しっかり休ませ乾燥させたのち、次の粘土をまた積み上げる…という非常に地道な工程を数週間から2,3カ月近くかけて行い、大きな壺が完成します。職人の勘と熟練の技によって、継ぎ目が全く分からないほど全体が滑らかに丸く仕上がります。

完成後さらに1週間近く乾燥させたクヴェヴリを窯に入れ、保温のため前面にレンガを積み上げ壁を築いてから着火します。数日から1週間かけて900~1200度の高温で焼き上げたら、レンガの壁を壊して取り出します。焼成後のクヴェヴリは割れないようにゆっくり冷まされ、内部には蜜蝋をコーティングするのが一般的です。一部の造り手はコーティングなしのクヴェヴリを用いることもあります。

 


外側を石灰で裏打ちされたのち地中に等間隔に並べられてから土中に埋められます。ぽっかり開いた丸い口を残してすべてが土中に埋まり、その上にマラニ(セラー)が建設されます。


マラニの床に、クヴェヴリの口が開いています。ここに果汁とチャチャを注ぎ、発酵、熟成されてワインが造られます。石やガラス製の蓋で閉じ、マロラクティック発酵が終わったら、蓋を石灰粘土や土で覆って密封します。

容器が地中に埋まっていると、完成したワインを取りだすためにポンプを用いたり、使用後は専用の道具で入念に洗ったのち燻蒸殺菌したりするなどメンテナンスにも手がかかります。地上で醸造していた頃もあったそうですが、度々発生する地震から守れること、発酵や熟成中の温度を均一に保てるなどの利点から、今も地中に埋めるのが主流となっています。また多孔質のクヴェヴリは少量の酸素を通すため、クヴェヴリを埋める土質までもがワインの味わいに影響を及ぼすところも、クヴェヴリワインならではの非常に興味深い点です。

「クヴェヴリによる伝統的なワイン造り」は2013 年12月にユネスコの無形文化遺産に登録され、また「クヴェヴリ」自体も、2021年に食品以外で初めて製品の原産地呼称と地理的表示保護法に登録されています。大量生産には向かないため、クヴェヴリ造りのワインはジョージアワイン全体の約5%以下ですが、近年ではジョージアの文化を後世に継承すべく新規参入する生産者や、近代化したワイン製法とミックスしたり、ジョージア以外の国でクヴェヴリ製法に挑戦したりする生産者も増えています。今後もまだまだ目が離せないジョージアワイン、ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。


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