肉詰めオリーブの揚げ物 Olive all'ascolana

肉詰めオリーブの揚げ物 Olive all'ascolana

早いものでもう年末。お家飲みにぜひおすすめのオリーヴェ・アッラスコラーナを紹介します。

オリーヴェ・アッラスコラーナイタリアのマルケにあるアスコリ・ピチェーノの郷土料理で、オリーブの肉詰めに衣をつけて揚げたもの。

「アッラスコラーナ」とは「アスコリ風」を意味し、1800年代にアスコリ・ピチェーノの貴族に仕えるシェフが大量に余った肉を無駄にしないよう、粒の大きな現地のオリーブに詰めたのが始まりとされます。

そのため、牛、豚、鶏など各種の肉を組み合わせるのがオーソドックスです。現地では街角の屋台で売られているストリートフードのひとつであり、原産地呼称保護認定されている一品です。

≪材料(オリーヴェ・アッラスコラーナ)≫
・挽き肉……150g ※今回は牛豚鶏を各50gずつ使用
・玉ねぎ……1/8個分
・にんじん……1/3個分
・セロリ……1/4個分
・レモンの皮……1/2個分
・粉チーズ(パルミジャーノ・レッジャーノ)……40g
・ナツメグ……少々
・パン粉 ……15g
・卵……1/2個分
・白ワイン……100ml
・塩……小さじ1/8
・オリーブ……約480g ※今回は種ありを使用

≪材料(揚げ衣)≫
・パン粉……適量
・小麦粉……適量
・卵……1個
・揚げ油……適量



 

【1】肉だねを作る

・ザク切りの玉ねぎ、にんじん、セロリをオリーブオイルで炒め、挽き肉を加えさらに炒めます。

・肉に焼き色がついたら白ワインを加え、水分が飛ぶまで弱火で炒め続けます。

ちなみに、原産地呼称保護認定公式ガイドラインでは、牛肉は肉総量の70%以下、豚は50%以下、鶏は10%以下…などと混合比が厳密に決まっているのだそう。今回は牛豚鶏の3種類を使いつつ、量は均等にしました。3種使わずに牛のみ、豚のみ、でももちろんOKです。

・火から下ろし、粗熱を取ってからフードプロセッサー等でペースト状にします。

※あらかじめ野菜をみじん切りにしておきこの手順を省いてもOKです

・ナツメグ、すりおろしたレモンの皮、溶き卵、パン粉、粉チーズ、塩を加えてさらに混ぜ、冷蔵庫で休ませます。

【2】オリーブの種抜きをする

今回は塩味がマイルドな、シチリア産の浅漬けオリーブを使用します。

・ペティナイフなどを使い、リンゴの皮を剥くようにオリーブの果肉を剥いていくと、中心部分の種と、くるんと丸いらせん状にカットされた実に分かれます。このカットを「リッチョロ」(イタリア語でカールの意味)と言います。

※塩味の強いオリーブを使う場合、リッチョロのオリーブを冷水に付けておき塩抜きしましょう

ひと続きに果肉を切り離せるとベターですが、途中で切れてしまっても成形時にカバーできるので大丈夫です。同じオリーブからできた破片は一緒にしておきましょう。種のキワまで攻めると小回りが利かずカットが途切れやすいので、厚めに皮を剥く感覚の方が上手くいきます。

【3】形成する

冷蔵庫で寝かせていた肉だねを取り出し、いよいよ成形します。

小さな肉団子を大量に作り、リッチョロのオリーブを肉団子の周りに巻き付けて、指先で丸く形を整えます。カット時に途切れた破片は、パズルのピースをはめるように一緒に組み立てます。肉だねが露出している箇所があっても問題ないので気にせずOKです。

ヒビが入った卵のような、今にも生まれそうな可愛らしさです…!大量生産されてくると、なお可愛いです!

あとはこれに衣をつけるのみですが、現地の衣はきめ細かさが特徴で、仕上がりを近づけるためにパン粉を粉砕します。厚手のビニール袋にパン粉を入れて、その上で伸し棒やすりこぎ棒を押し付けながら転がします。



【4】衣をつける

小麦粉⇒卵⇒パン粉⇒卵(二回目)⇒パン粉(二回目)の順で二度付けします。

一度付けのものと二度付けのもの両方作ってみましたが、二度付けすると衣がしっかり付くので気持ち頑丈になり、見た目の色が均等になります(画像右側)。一度付けだとオリーブがほのかに透けてまだらに見えます(画像左側)。

【5】揚げる

180℃の揚げ油で、衣がこんがりときつね色になるまで3~5分揚げます。全体的に色づくように、たまにコロコロしながら調理していきます。




出来上がりました! 早速スパークリングワインと共にいただきます。

普段冷たい状態で食べることの多いオリーブがサクサクホクホクしているのはとても意外性があって、予想を上回る美味しさです。オリーブの塩味が後を引き、またレモンの皮による酸味と香りが心地よく、いくらでも食べられてしまいそう。

クリスピーな食感とスパークリングの泡のはじける食感が良く合います!今回はコクのあるリッチなスパークリングと合わせたため、油の風味とも非常によく馴染みました。もし夏場など暑い季節にいただくなら、スッキリ爽やかで辛口なものと合わせると良いかもしれません。色々な楽しみ方がありそうです。

衣の一度付け、二度付けの違いも味わってみましたが、二度付けの方が塩味がよりマイルドになります。今回は塩分の少ない浅漬けオリーブだったので、一度付けでもちょうどよく感じました。お使いのオリーブの塩味が強い場合は二度付け推奨ですが、基本的にお好み次第です。

個人的には、グリーンがうっすらまだらに透けている一度付けの見た目も、この料理のユニークさがよく表れた味のある外見に思えて気に入っています(冒頭の画像が一度付けで揚げたものです)。

オリーブをらせん状に剥くユニークな工程といい、食べたときの意外性といい、誰かと共有すると楽しみが倍増するお料理なので、ご友人と一緒にワイワイおうちで調理して熱々をみんなで頬張るのをお勧めします。

今回の量は粒にして約80個分と少々多めではありますが、大勢で食べたらあっという間になくなりそうです。ちなみに衣をつけた状態で冷凍保存もできます。ぜひ一度、お試しください!